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評価:
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ディズニーの名作『メリー・ポピンズ』の誕生秘話。
『メリー・ポピンズ』をどうしても映画化したいウォルトおじさん
VS
映画化がどうしてもゆるせない原作者トラヴァーズおばさん
・・・という、『ほこ×たて』のような根競べショー。
20年かけてずっと映画化の夢をあきらめなかったウォルトの一途なしつこさもすごいけど、それ以上にトラヴァーズの性格が相当すごい。
気難しい、頑固、ヒステリック、意地悪etc....どの言葉でも表現しつくせないほど、一筋縄ではいきそうにもない、すごく繊細ゆえに「きつい」性格の持ち主。(ややこしい!)
役作りのために、当時の話し合いの模様をおさめたテープをきいたおばさん役のエマ・トンプソンが
「(テープを聞くのは)苦痛だったわ。P.L.(トラヴァーズ)が本当に最悪でイライラさせられるからなの。会話を聞いているだけで、彼女に何か重いものを投げつけてやりたくなるほどよ!」
とパンフレット内で言っていたので、それはもう、相当、相当のすごさ。
“本当に最悪”って表現、普段は滅多なことでは言わないと思う。
話の後半からは、どうしておばさんがそこまで『メリー・ポピンズ』に強いこだわりを見せるかの謎が明かされていきます。
それを知ったウォルトがおばさんにした約束とは?
・・・という展開なんですが、私は後半の作りがいまいち物足りなく思いました。
確かに約束はするし、それのおかげでなんとかかろうじて映画化までこぎつけたのかもしれませんが、以降おばさんの気持ちがすっきりしたかというとそうでもなく、最後まで映画化はおばさんにとって望ましいことでなかったんじゃないかなあ・・・?と思う節があるから。
もっと言うと、今回のおばさんのエピソードの映画化自体、もしおばさんが存命していたら絶対嫌がったろうに・・・とたやすく想像できる。
「自伝もドキュメンタリー的なことも、何もしてほしくない」と存命中言っていたらしいので。
そう考えたら、
・『メリー・ポピンズ』の映画が原作者にとって不満の多い作品であることを知って
さらに
・この映画自体が、おばさんの意向に沿わない可能性が高いんじゃ・・・という疑問を持つ
ことになるので、私の場合鑑賞後、何ともモヤモヤした嫌な余韻をもつことになりました。
内容自体は決してそこまでつまらないわけではないので、できればテレビの特番とかでこの内容は見たかったかなあ。